(いや、幼子がこんな時間に起きているのはよくないな)


と、己に言い聞かせながらも浮足立っているのが自分でもわかる。
はやる気持ちを抑え、そっと自室の扉を押しのけ寝台へと近づいた―――


「おや…私の願いが通じてしまったようだ」


そういって目元をほころばせるキュリオは、大きな瞳を瞬かせる彼女の額へと口付けを落とす。涙のあともなく、ぐずった様子は見受けられない。


「お前は本当に大人しい子だね。眠れないならちょっと外に出てみようか?」


(あの変わりない風景も、この子となら…)


パチクリと瞬きをする赤ん坊を腕に抱き、
風邪をひいてしまわぬよう柔らかな羽織でその体を包んだ。


「さぁ行こうか」