「……」



視線を下げ、寂しそうに帰っていく二人と付き人の男。黙って彼女らの背中を見送っていたキュリオだが…ため息をつくとその背中に声をかけた。



「…祝いの席を設けるつもりはないが…」



「…食事くらいならいいだろう」



「…え?…」



聞き間違いかと振り返ったウィスタリアとマゼンタはキュリオを探す。だが、彼の姿はそこになく、遠くに見えたキュリオはこちらを振り返る事なく扉の中へと消えてしまった。




「ありがとう…ございます…キュリオ様…」




そう囁いたウィスタリアは瞳に涙を浮かべ、愛しい王の名を呟いた―――