「その…今日、マゼンタの誕生日なんです…十歳になりました」



震える手で美しいマーメイドドレスの裾を握りしめながらウィスタリアが言葉を発する。彼女をじっと見つめるキュリオ。



「……」



「それで…どうしても…キュリオ様に祝って欲しいというものですから…」



すると小さくため息をついた銀髪の王は無表情なまま言葉を投げつけた。



「…君たちは女神一族と言えど悠久の民だ。誕生日だろうとなかろうと…私が個人を特別扱いするわけにはいかないのはわかっているね?」



「…はい…申し訳ありません」



気落ちしたウィスタリアの隣でマゼンタも寂しそうに肩を落としている。勢い任せでどうにかなると思っていた若い彼女は、ノリというものに流されないキュリオにあっけなく完敗してしまったのだ。



「ごめん、ウィスタリア…」