「しかし…?」


カイとアレスは大魔導師の言葉に思わず息を飲む。


「王同士ならば可能らしいがの、普通の人間では彼に触れることが出来ぬ。そして彼もまた触れることが出来ないんじゃ」


キュリオが出した書簡で、精霊国とヴァンパイアの国からの返答はわかりきっていたとしていたのもここにある。ヴァンパイアではないことはキュリオが実証済みだが、精霊は実体を持たないため人に触れることが出来ないのだ。


「なるほど…、人のかたちをしている精霊王でも…根本的に私たちとは違う体なのですね…」


「そうだな、難しい体なんだな…」


アレスとカイは知らない事が多い。そして知らぬがゆえに新しい質問がなかなか思いつかず、ただガーラントの話を頼りに知識を増やしていくしかないのだ。


「左様(さよう)。あとわかっている事と言えば…神具は弓矢、彼は極度の人見知りって事くらいかのぉ。千年王の彼は人を見る目も肥えておられる。<心眼の王>と呼ばれる冥王は心を読むが…精霊王は一目で相手がどんな人物か手に取るようにわかってしまうらしいのじゃ」