「はい。該当者なし、との事です。」


「……」


小さくため息をついたキュリオ。その表情には落胆の色が見え隠れしている。そして大魔導師ガーラントも唸るように顎に手を添え、何か考え事をしている様子だった。


キュリオとガーラントの反応にブラストたちが顔を見合わせていると広間の別の扉が開き、ひとりの家臣が小走りにキュリオの元へと駆け寄っていく。そして耳打ちをしているところを見ると、急ぎの用件であることは明らかだった。


「…そうか、わかった。通してくれ」


「かしこまりました」



キュリオの承諾を受けた男は入ってきた扉からもう一度出ていく。そして彼が再度戻ってきた数分後…その背後には[雷の国]の使者が顔を連ねていた――――