「光の精霊に渡せば確実だろう。心配無用だ!」


ブラストは豪快に笑いながらも、小さな二人の腕をつかみ門から遠ざけようとする。


「…きょ、教官?」


「おい…」


アレスもカイもその腕の強さに戸惑い顔を見合わせている。


「いいから次行くぞ」


「はい…」


アレスが精霊の門を振り返ると彼女たちの姿はなく、わずかに見えたのはぼやけた美しい大自然の景色だけだった。


(キュリオ様が"慈悲の王"で、たしか精霊王は…"夢幻の王"だったはず。二度と戻れないとされる精霊の国。惑わせる精霊に夢と幻…か)


「教官、精霊王の神具とはどのようなものかご存じですか?」


ブラストは腕をつかんだ腕をそのままに瞳だけをアレスへと向けた。





「恐れ多くて俺には答えることもできんな…アレスお前は現在の精霊王がなぜ第一位の王かわかるか?なぜキュリオ様が二位なのかを考えたことはあるか…?」