「待って。俺めっちゃカレー食ってきちゃったんだけど……」
「大丈夫。私もまあまあ食べてきたから」
「………」
なにが大丈夫なのか分からないけど、とりあえず莉緒の言うことには逆らえなくて走ることになってしまった。
学校のグラウンドよりは狭いから大体5分くらいで1周は終わる。
「本当にお前は強引なヤツだよな」
「じゃないと玲汰は動かないだろ」
肩を並べて走るふたつの影が地面に映っていた。
俺が素直に莉緒に従っているのはこの運動公園での練習が初めてじゃないから。
持久走の時も地区の運動会の時もこうして暗い時間に集まって練習した。この夏がはじまる匂いと誰もいない空間の雰囲気は嫌いではない。
でも莉緒はこう見えて真面目だからふざけた練習はできなくて、俺は毎回くたくたになって家に帰るんだけど。
1周が走り終わって、やっぱり距離が短いからかまだ息は上がってない。
「つーかさ、俺なんかアンカーになったんだけど」
今日学校に行ったら何故か勝手に決まってた。
リレーの選手ってだけで緊張してんのにアンカーなんて俺のメンタルをなめるなと言いたい。
「まさかこれもお前の仕業じゃないだろうな?」
「さあ」
莉緒がニヤリと笑う。
もし俺が立ち直れないぐらい恥をかいたらマジで一生恨んでやる。



