思えば俺は今まで1位という数字を取ったことがない。
賞状も貰ったことがないし、人生で自分が輝いた瞬間さえないかもしれない。
考えてみれば莉緒はやっぱり俺とは真逆で小学校でも中学校でもよく壇上に上がっていた。全校生徒の前でスピーチしたこともあったし、美術でも書道でもあいつの作品の横には必ず金色の札が貼られていた。
俺は注目すら浴びない。
むしろ、成績を残して褒められる莉緒をいつも影から見ていた。
それが当たり前だった。
それでいいと思ってた。
なのにどうしてこいつは俺よりも必死で俺のことを考えようとするのだろう。
そして次の日。
学校が終わって家に帰って晩ごはんを食べたあと、俺は莉緒に呼び出された。しかも服装指定でジャージと運動靴で来いだって。
なんだかもう嫌な予感しかしない。
「とりあえずウォーミングアップでここのグラウンドを軽く1周するぞ」
今いる場所は市民運動公園。
誰でも利用することができて、たまにサッカーのナイターをしてたりするから日が暮れた時間でも周りはオレンジ色の外灯で明るかった。



