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次の日。俺は朝寝坊をした。
徹夜でゲームをやってたからとか道路を歩く酔っぱらいのおっさんの声がうるさくて寝付けなかったとか理由は沢山あるけどそうじゃない。
いつも目覚まし代わりに鳴っていたあいつからのメールや着信。モーニングコールとは言えなくても長年それで毎朝目を覚ましてきた。
なのに今日はそれがない。
スマホの画面を見つめてもただ表示された時計が進んでいくだけ。
もういくら急いでも遅刻は決定だ。俺は慌てることなくリビングに行くと俺よりも呑気に母ちゃんが掃除機をかけていた。
「あれ玲汰、今日学校休みだっけ?」
母ちゃんはよく周りから天然だって言われる。
そもそも平日なのに休みなはずがないし、母親なら息子が起きてこなかったら叩き起こしにこいよって感じ。
「休んでもいいなら休むけど」
「なに言ってんの。この前まで腹痛で休んでたんだから真面目に行きなさい」
まだあの嘘を信じてることは置いておいて。俺は朝ごはんの代わりに甘いのカフェオレをひと口飲んだ。
「莉緒ちゃんは?いつも玲汰のこと迎えにきてくれるでしょ」
「知らね」
「なんだ、喧嘩したのね」
「いや、してねーし」
喧嘩はしてない。むしろ俺が望んだことを文句も言わず受け入れたあいつの心理が読めなくて怖いけど。



