玲汰、知ってる?


多分というか絶対、莉緒の中にある俺へのイメージはガキの頃のままで止まっている。

だからその関係性も変わらないって思ってる。


「俺だって成長してんだよ。だからお前がいなくなって俺は……」

そう言いかけると突然キィィとブレーキがかけられて自転車が止まった。その反動で俺は莉緒の背中に顔をぶつけて鼻を強打。


「きゅ、急に止まるなよ……!」

ぶつけた箇所を押さえながら顔を上げると莉緒は無言のまま自転車を降りて、入っていったのはコンビニの中。

そして素早くレジで会計を済ませると、理解は棒つきのアイスをふたつ買って戻ってきた。

「ん」

差し出してきたのはアイスを持っている右手じゃなくて、なにも持っていない左の手のひら。


「なに?」

「260円」

「は?」

「アイス奢るって約束しただろ」

「してねーし。つーかふたつも奢るなんて聞いてないんだけど」

「でもひとつだけとも言ってないだろ」


頭のいいヤツは口答えする返事も早いからムカつく。俺は制服のポケットに入っていた小銭を確認して260円を莉緒の手に乗せた。

すると莉緒は満足そう顔をして再び自転車に股がった。