上がりかけていたテンションが床にめり込む勢いで落ちていく。背後でガタッと椅子を引く音がして莉緒が鉛のように重たいカバンを俺に押し付けた。
「重いから持って」
「は?なんで俺が……」
「遅れた罰だよ」
カバンを投げつけてやろうか。いや、そのあとの仕返しのほうがめちゃくちゃ怖いからやめておく。
「それと前澤さん彼氏いるよ」
「は、え?」
「残念だったな」
ニヤリと不適な笑みを見せて「早く帰るぞ」と、まるで女王さまのように俺の前を莉緒は歩いた。
なんだか色々と見透かされている気がする。
結局なにが入ってるか分からないカバンは自転車置き場まで運ばされて俺は乱暴にそれをカゴの中へと押し込んだ。
学校を出て校舎が見えなくなった曲がり角で莉緒はまた偉そうに俺を見た。
「乗れ」
また同じ言葉を口にして、俺は渋々自転車の後ろへ。
今日こそは言ってやろうと心に決めていた。というかこのままじゃ俺は金魚のフンのまま終わってしまう。
「あのさ、別に一緒に帰んなくてもよくない?」
約束してるわけじゃない。
ただそれは保育園のウサギ組からの延長で小学校、中学校、そして現在も義務のように続いてしまってるだけ。



