結局俺は眠れない一夜を過ごして、夏休みの1日目を迎えた。
部屋は相変わらず蒸し暑いのに何故か体がひんやりとする。スマホを確認してもあいつからの連絡はない。
メールもした。電話もした。
それでもひとつも返ってこない。
ああ、姉ちゃんの連絡先ぐらい聞いとけばよかった。
と、その時。コンコンと部屋のドアがノックされて顔を出したのは母ちゃんだった。
「今日、粗大ごみ出す予定だからたまには部屋の掃除でもしてごみがあったら表に出しておいて」
朝からバタバタと騒がしかったのはこれが原因か。
「なあ、莉緒の母ちゃんのスマホの番号わかるよな?」
普段は家の電話でやり取りしてるけど、ふたりは学生時代からの親友らしいし知らないほうがおかしい。
「もちろん知ってるわよ。なんで?」
「ちょっとかけてみてくれない?話したいことがあってさ」
「ふーん。まあ、いいけど」
疑いながらも母ちゃんはポケットからスマホを出して電話をかけてくれた。ドキドキしながら待ってみたけど、すぐに母ちゃんはスマホを耳から離す。
「あれ、電源が切れてるわ」
「………」
胸騒ぎが止まらない。
旅行に行ったんじゃないかとか急用ができたんじゃないかとか、不安を取り除くためにそんなことを考えてみたけど、すぐに現実に引き戻された。



