玲汰、知ってる?



それから俺は制服に着替えて、適当に食べやすいパンを口に入れながらやっと学校へと登校中。

もちろん自転車は莉緒が漕ぐ。

涼しさと生暖かさが混ざったような風。それを全身で感じるように莉緒の視線が雲ひとつない青空へと向く。


いつもと変わらない朝。だけど、ご機嫌の時に奏でる莉緒の鼻唄は最近聞こえない。

7月になって、夏の匂いがするようになってからかな。

莉緒は空を見上げる回数が増えた気がする。


「なあ、俺になんか隠し事してない?」

なんの前触れもなく、話しの流れでもなく。

普通に日常会話として聞いた。


胸にある違和感の正体は分からない。だけど俺たちの間にある空気はいつもと変わらないように見えて、少しだけ違うんだ。

それを言葉で表すのは難しいけど。


3秒ほど沈黙になって、莉緒が答えた。

「玲汰に隠し事なんて、いっぱいしてるよ」

笑みを残した言い方だった。