何で今更現れるの。

海のこと思って離れたんでしょ?


勝手に死のうとして、でも死ねなくて。

それでメールだけ送っていなくなったんでしょ?


なのに、何で。

忘れられないって、まだ好きだなんて、勝手すぎるよ。





「……海がいないと生きていけないなんて、ふざけてる。でも、嘘つきだって突き放すには、私から海を奪わないでって叫ぶにはーー」


「柳瀬さん」




私が言おうとしたことを察したのか、市原くんがそれを遮ろうとする。

私を掴む手に少し力がこもった。





「……あの人は、あまりにも儚くて脆そうだった」


「だから、何。それが柳瀬さんに何の関係があるって言うの?」





それでも言葉を続けた私に投げかけられた言葉は少しだけ怒りを含んでいて、どこか悲しそうにも聞こえた。