……コールが、1回、2か……。




『はい、もしもし』

(うわ、はやっ)




コールが2回目に入ろうかどうかというタイミングで、すぐに電話が繋がった。


電話に出た男性の声は想像してたよりも若い。

20代半ばか後半くらい?

しょっしゅう話をしている秋さんとほとんど変わらないような気がした。




『もしもし?』

「あっ、もしもし!! 私、双葉 杏と言いますっ!! えっと、そのっ……!!」

『あぁ、双葉さんのところの。 『カゲロウの血』ですよね』


「そうですそうです、その通りですっ……!!」

『八峠に代わりますので、少し待っててくださいね』

「はいっ!!」




……って、今のは八峠さんじゃなかったのっ!?


うぅ……八峠さんって物腰の柔らかな素敵な声の人だと思ったのに、まさか別人だったとは……。






『んぁー、面倒臭い。 もしもしぃ、電話代わりましたぁー』

「……」

『あれ、これ繋がってんの? 誰も返事しねぇんだけど。 おーい、もしもしぃー?』




……どうしよう。

声聞いただけでわかる。


すっごく変な人だ。