……薄暮さんとカゲロウの戦いは、マグマを呼び寄せるほどのもの。

私には想像も出来ないけれど、相当凄いことだよね……。




「で、コイツを助けるためにハクは山を下ったわけか。 ……こんな奴 放置すりゃよかったんじゃねぇの?」

「そうかもしれませんね。 今はそう思います」




にっこりと笑う薄暮さんに『ヒドいなぁ』と笑顔で言うオサキ。

二人の間にはとても和やかな空気が流れていて、とても温かい。


なんだかんだと言いながらも、久しぶりの再会を喜んでいるみたいだ。







「ところで八峠さん、人形の方はどうなりました?」

「あ? ……あぁー、すっかり忘れてた」




……そうだ、忘れてた。

私と八峠さんは、藁人形を取りに部屋に来たんだった。

その人形がどこにあるかは、全然わからないけどね。




「どこに置いたって言ってたっけ?」

「ベッドの下にあるバッグの中です」




……って、ベッドの下!? しかもバッグ!?


嘘でしょ……昨日来た時、薄暮さんは何も持っていなかったのに……。

薄暮さんのとんでもない力には慣れてきた。 慣れてきたけれど、さすがにコレは驚いた。




「……ほんとに、バッグだ……。 しかも結構大きい……」




ビジネスバッグというやつだろうか? 結構しっかりした作りだ。

そんなバッグがあることを知らずに一晩過ごしていたとは……。

そしてその中身は藁人形というね……。


知らぬが仏。とは まさにこのことかもしれない。