……意味がわからない。

八峠さんは、いったい何を考えているの……?




「杏さん」

「あっ……」

「あの人は他にも仕事を抱えているので、いつまでも ここに留まるというのは難しいんです。
あなたのことは僕が守りますので、安心してください」




薄暮さんは穏やかな笑顔でそう言い、その後、手に持っていた黒い塊を握り潰した。

……穏やかな笑顔と口調からはまったく想像も出来ない、残酷で躊躇いのない動作。


手から溢れ出た黒いモノはボトボトと床に落ち、直後に色を無くして消えていった。




「……あなたは、いったいなんなの……?」




ずっと聞けずにいたことを問う私に、薄暮さんはまたにっこりと笑みを見せた。