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私たちが今 居るのは、八峠さんの家だった。

たった1回の まばたき の間に、私たちは八峠さんの家にまで戻ってきたのだ。

この力は、薄暮さんの力……テレポーテーション。




「霊たちの動きは?」

「病院からこちらへ向かっています。 こちらに残されてる時間は8分」

「障害物が無く飛んで来られるから羨ましいねぇ。 まぁ、お前のえげつない力には かなわないけど」


「誉め言葉として受け取っておきます。 それで、これからどうしますか?」

「家の結界を解除。 室内で迎え撃つ」

「わかりました」




部屋の隅で立ち尽くす私をよそに、八峠さんと薄暮さんはそれぞれ忙しなく動いていた。

八峠さんは別の部屋から段ボールを持ってきて、その中を漁って何かを探している。

薄暮さんは八峠さんに言われた通りに家の結界を外すため、外へと行ったらしい。


何も言葉が出ずに座り込んだ時、八峠さんがようやく見た。




「おい、何ボケッとしてんだ。 早くここに来い」

「……え?」

「お前にだけ結界を張る。 だからお前は部屋の中央から動くな」


「あ……はいっ……」




八峠さんに言われるがまま、急いで彼の隣に並ぶ。




「今からお前の姿を隠す。 が、カゲロウ本人が来たら結界なんてあっという間に破られる。 それだけは覚えておけ」

「……はい」




その言葉のあと、八峠さんは私にお札を持たせた。

……それは、私がいつも秋さんに貰っていたお札と同じものだ。

それを見つめると、頭の中には秋さんの笑顔が浮かんできて、また涙が溢れ出す。


そんな私に八峠さんは何も言わず、呪文のような何かを唱えながら そっと私の頭を撫でた。

──その瞬間、私の体は光の膜に包まれ……その光は、八峠さんが呪文を唱え終えるのと同時に静かに姿を消した。


目には見えない。 だけど今、私の体は結界に包まれている。