今までも僕の暴力に耐えかねて出ていったことはあったが、いずれも僕が電話で戻ってきてほしい、お前じゃなきゃダメなんだと懇願すると戻ってきてくれた。




ただ、今回は違っていた。




何度電話しても出てくれないし、メールをしても返事がない。




何日待っても家に帰ってくる気配はなかった。




バイト先にも行ったが、彼女はそのレストランを辞めて、別の場所でバイトを始めたということしか、わからなかった。




僕は彼女がいない間、彼女が自分にとって大切な存在なのだということを改めて思い知らされた。




全身が震えるほどの見捨てられ不安と世界に一人だけになってしまったかのような孤独感。






絶望が体中にしみわたって、僕の心を着実にむしばんでいった。






そして僕はこう考える。





彼女のいない世界に用はないと。