綾乃は言う。
「美和と喧嘩したの忘れてたの? 呆れた・・・・。あんなにへこんでたくせに」
「うん、すっかり忘れてた」
「あんたのためにキャンプに行く企画と用意してやったのに。まあ、現実に戻ったら美和にしっかり謝って許してもらいな。まだ好きなんでしょ?」
「もちろん」
「喧嘩した理由はしんないけど。でもまた4人で遊びたいから応援したあげる」
綾乃はふふっと笑って、「じゃあお先に」と言って貼紙の前に立った。
そして生き別れとなった弟の名前を書いた。
”竹本勇気”
書いた瞬間、綾乃の身体は瞬く間に消えてしまった。
良太と同じように。
きっと現実に帰っていったのだろう。
さぁ、次は僕の番だ。


