風は一切吹いていない。



なのに、その立て付けの悪い扉は何度も何度も開いたり閉じたりを繰り返しながら揺れている。



僕らはその異様な扉の動きを不気味に感じていた。




気持ち悪い。近寄りたくない。恐ろしい。



心の中にそんな感情が渦巻いている。



なのに、僕らの身体は心とは裏腹に、吸い寄せられるように扉に向かって歩みを進めていた。