冷静に考えてみれば、あいつが弥和だと証明できるものは何もないんだ。


偶然、事故に遭った日が同じで、偶然、弥和と同じような記憶喪失。

偶然なんだ。偶然。


何度もそう思おうとした。


けれど、すぐに親友のことを思い出していたことを思い出す。


それはあいつが弥和であると示すことの出来る十分な理由になる。


実際、俺もあの二人には見覚えがあったし、あの二人は俺と弥和が付き合っていたことも知っていた。


木ノ下 百華は正真正銘の俺と愛し合った、俺がただ一人愛した、古葉 弥和と同一人物であるということ。


それは覆るはずもない事実となった今、百華にどう声をかけていいのかわからない。