尾咲狐は私の言葉が通じたみたいで一声なくと私の尻尾のうち一つにはいっていった。
「冬紀大丈夫?」
「うん…。
でも、雪莉…桜九尾の姿になって
良かったの?」
「…うん。
冬紀に守ってもらったのに
目の前で苦しんでいる冬紀を助けて
あげられなかったら恩返しも何も
できないと思って…」
この姿でないとダメな理由は一つ。
冬紀と尾咲狐を守るのにはこの姿でないとできなかったから。
確かにこの姿をさらすということは危険きわまりない行動。
でも、冬紀は失いたくなかった。
「雪莉…。
あとは僕に任せられる?」
冬紀の目は信頼の目だった。
何者にも恐れない輝く目…。
いつの間にか冬紀の目は獣の目ではなくなっていた。
「分かった」
「君はその声の主を探してきて」
コクリ
私は冬紀を信じて走り出した。
