「…っ……」
登って…くる。
窮鼠達は壁と私の足から登り始めた。
私はぎゅっとリングを抱きしめた。
この子だけは絶対…。
〝ニィ…〟
「やめろ!」
〝尾咲狐をよこせばやめてやる〟
「いや…」
〝ならば仕方のない。
部下達よ其奴等から妖力を奪い取れ!〟
「っ離せ!」
「冬紀…!」
冬紀の所に行かないと…!!
っ?!
でもそれはできなかった。
私の足は窮鼠達が出した小さな蔓がたくさん巻きついて動けなかったから。
冬紀はゴールデンレトリバー並みの大きさのサブボス窮鼠達の少し大きめの蔓に押さえれられていた。
妖力が…。
最近妖力ばっかりとられちゃうな…。
私って本当に何もできない。
冬紀が目の前で妖力を取られ刀を杖にしてしゃがみこんでいた。
〝おぉ!
お前たち只者ではないな!
この妖力…力がみなぎる!〟
っ冬紀…!
「っく」
許さない…。
妖怪返りの姿になっちゃったらリングが解けるから嫌だったけど。
守りにくくなるからね…。
でも、冬紀が目の前で苦しんでいるのに放っておけるわけない…!
