怒ってる…。
根拠はない…。
でも、冬紀…凄く怒ってる。
「来ないならこっちから行くから」
冬紀は怯んでいる窮鼠のボスに飛びかかって行った。
「冬紀待って!」
私が止めるのが遅かった…。
冬紀は一人でそのまま群れに飛びかかって行った。
最後に見た冬紀の目…。
獣の目になってた…。
っ無謀すぎる。
でも、どうしてだろう…。
冬紀に守られてると…。
『もう、一人で抱え込まなくて
いいんだよ…。
辛くても悲しくても、僕が…皆が
支えるから…』
『冬紀…』
『泣かないで…。
君は…僕らが守るから…。
あの人が残していった君を
絶対に守ってみせる。
だから、僕らの後ろで守られてなよ』
冬紀の…記憶…?
泣いているのはやっぱり私…?
もぉ…分かんないよ…!
誰の記憶なの?!
「雪莉逃げて!!」
え?
「っ!!」
気付いた時には遅かった。
窮鼠達が私を囲んでいた。
私は少しずつ後ろに下がって行って回避しようとしたけど限界があって逆に壁と壁の間の隅に追い込まれた。
