桜ノ雫 ~記憶編~


意識が消えそうなほど寒い…。



元々私は寒いのは苦手だから倍に…。




「冬紀…、寒く…ない…?」




冬紀の顔は後ろ髪より長い横髪(サイドの髪)で見えなかったけど、その横髪から溢れる雫が凍りそうだった。




「大丈夫だよ。

君こそ、寒いのは苦手でしょ?」




え?



どうしてそれを知ってるの…?




〝渡してもらおう〟




「っいや!」




私は尾咲狐の入ったリングを抱きしめて隠した。




〝ならば…死ね〟




っ!!




私は怖くてぎゅっと目を閉じた。




ガシャン!




暫くたっても痛みはこずその代わり何かの衝撃音がした。



恐る恐る目わ開けるとそこには冬紀が妖怪返りの姿で立っていた。



そして手には氷粒と雪をまとっている鍔のない刀が握られていた。




「やってくれるね。

僕の目の前で姫に手を出すなんて。

この後の事を覚悟の上での行動だよね?

…手加減、しないから…」