桜ノ雫 ~記憶編~

「尾咲狐は不老不死の力を

《与える》ことができるの…。

だから、ただ血肉を食べても

何もならないの…」




「そっか。

それを知らないあいつらみたいな奴が

尾咲狐を食べて数を減らしこの子を

こんなにおびえさせる原句に

なったって訳ね…」




凄い…。



少し説明しただけなのにこんなに理解できたなんて…!




〝戯言を!

グダグダ言わずにさっさとよこせ!〟




そう言って大きな水球を投げてきた。



水属性…。



でも、威力が半端ない。




「雪莉先ずは逃げよ。

ここじゃ人目につく…」




コクリ




リングを抱いて二人で走り出した。



ただただ走って一つの大きな建物の前に来た。



ここ…。




《神芥高等学校》




っここだ!



冬紀もそれに気付いたみたい。




「うわぁっ」




「っ冬紀!!」




私達が立ち止まった一瞬を窮鼠は見逃すはずがなく、ボス窮鼠が投げた大きな水球に冬紀が真正面から受けた。



冬紀はそのまま校内の中にあるフェンスに叩きつけられた。



冬紀に慌てて駆け寄った。



すると私もその隙を突かれて水球を受けた。




「きゃっ!」




私は真冬の夜の寒さ+水球の冷水で凍えた。



私と冬紀の服はビショビショで髪からも雫が垂れていた。




「雪莉!」