桜ノ雫 ~記憶編~




「離してあげたほうがいいかな…」




乱暴なことしちゃったし…。




「乱暴なことしてごめ…」




私がリングを解除しようと手を伸ばした瞬間、この町に住みついている妖怪がでてきて襲ってきた。




「冬紀…!」




私達は間一髪でそれを避けた。



最近よく団体の妖怪に狙われるなぁ…。



目の前には窮鼠の群れがいた。



その中の一匹だけ馬サイズ…。




「…気持ち悪…」




コクリ




冬紀が私の思っていたことを言ってくれた。




〝よこせ。

尾咲狐をよこせ〟




〝よこせ。

我らの主によこさぬか!〟




「イヤ!

貴方達は何か勘違いをしています!

私達はこの子を食べようとか

どうにかしようとか考えていませんし

この子を食べても

不老不死になんてならない!」




正しくはなれない。



尾咲狐をただ食べるんじゃいけない。




「不老不死になるって

僕は聞かされてたけど…?」




そう聞く冬紀にコッソリ耳打ちした。