「雪莉!

走るよ!」




冬紀は私の手首を掴んで走り出した。



冬紀の手…暖かい…。



プルルルルルル♪



扉が閉まる…!



あと少しのところで扉の閉まる…!




「こうなったら…」




冬紀??



冬紀は一瞬低く態勢を整えた。



そして一瞬冬紀の周りに氷の粒が出てき私達の周りを舞ったかと思うと、冬紀が白い美しい虎になり閉まりかけの扉に突っ込んだ。



でもそれはほんの二三秒の出来事で、周りに人もいなかったから人目は大丈夫。




無事に電車の中に入ると、冬紀の方を見た。



姿はいつもの姿だったけど目が少し獣目で光っていた。




「冬紀…?」




「なに?」




光っていた目も元に戻った…。




「駆け込み乗車は危ないんだよ?」




少し悪戯っぽく言ってみた。




「でも間に合ったでしょ?」




冬紀も悪戯っ子みたいな言い方をした。



私はそれがおかしくて笑いだしちゃった。



そしたら冬紀も一緒に笑って車両には二人の笑い声だけが響いた。




「他に人、居ないね」




笑い終わって私は車内を見渡した。




「最終電車だから仕方ないよ」




冬紀…こんなに優しく笑うんだ…。



いつもムスッてしてるから。




「どうしたの?」




「うんん!」




じっと見たら失礼だよね…。