でも冬紀は秋に着るような薄着だった。
「寒くないの?」
「寒い?」
コクン
「前にもユウに言われた気がする。
ねぇ、寒いってどんな感じなの?
僕は氷虎は寒さを感じないんだよ」
え?
「どうしたの?」
「そう言えば冬紀、白い息でてない」
「そう。
寒さを知らないから。
でも、見てるこっちが寒いから
ってことで暖かそうな服は着てるよ?」
寒そうだよ…。
あ、そうだ…!
「冬紀、これあげる♪」
私は首にかけていた白いマフラーを冬紀に掛けた。
「君が寒くなるよ?」
「いいの♪
冬紀の心が悲しそうにしていたから」
人の心を覗くのはダメだと思う。
でも、不意に発動した能力で見えてしまったの。
冬紀は何処か心が震えていたから。
もちろん能力発動の目は隠したけどね。
「本当に変わらないんだね君は…」
「え??」
「うんん。
こっちの話♪」
…??
「神芥町は電車だったよね?
最終電車出ちゃったかな…?」
えっと…。
「まだだったと思うよ?」
でも後十分しかない…!
「後十分しかないよ!」
「えぇ?!」
