影の本体は雪莉の力が目当てだろう。



多分少しずつ妖力を奪っている。



妖怪や妖怪返りから妖力を取るとそれから先は赤子の手をひねるほど簡単に事が進むからな。



おそらく人からも霊力を奪っていたのだろう。




「っ!!」




雪莉が悲鳴混じりの唸り声をあげた。



毒も回しているのか?!



時間の問題だ。




「闇夜に眠りし月華の花

咲き乱れろ月光華」




雪莉達の足下に月光華の形をした白い光があらわれ影の姿を浄化した。



そして影の姿で隠れていた本体を即座に刀で切った。



分析に少し時間がかかった。




束縛から解放された雪莉を受け止めた。




「鈍感な俺だからすぐには

気付けなかったんだ。

自分が雪莉に向けていた感情が

なんだったのか。

それにやっと気付かされたとき

あんたに守ると約束した」




毒が回って気を失っている雪莉にそっと語りかけた。




「守護者としてではなく俺として

姫だからではなく雪莉だから守ると…。

いつか雪莉が全てを思い出す

その時まで俺は待つ…」




闇に染まっていた俺を救ったのは雪莉だから。



俺がどんな代償を受けてでも失いたくない。




これは俺の最初で最後の恋だから…。