桜ノ雫 ~記憶編~

「っ遥…。

ここってなんだか…」




??



雪莉が入り口の前で俺の裾を引っ張って何かを言おうとした。




「キャーーーーー!」




「っ!?」




考えるより前に前の人の悲鳴で驚いて何を考えていたのかさえも忘れてしまった




「凄い悲鳴…」




「うん…。

行方不明者が出るって噂もあるよ…」




さすがに二人が怯え出している。



流石お化け屋敷っといったところか。



『行方不明者が出るって噂も…』



ふと琶音のその言葉だけが頭を回った。



っ!!



待て、先ほどの悲鳴といい少し前の雪莉反応。



まさか…?!




「遥…」




俺は急いで雪莉の方を向いた。



だが、時すでに遅し。



雪莉の体は黒い影のようなものに縛られていた。



琶音は壁に押さえつけられていた。




「ぃやあぁ」




っ!



黒い影は雪莉をさらに締め付けている。



琶音は妖力を奪われ動く気力を失いつつある。



それは雪莉も同じ。



それに琶音は病み上がり。



ダメだ。



っ!!



影は俺をも縛りつけようのしたのかこちらへも飛んできた。



俺はそれを避けると半妖の時の刀だけを出して斬りかかった。