「なら、もう一度やり直せるよ…。
私が貴方に降りかかる呪いを
全て受け止めます。
だから、もう一度思い出して…。
あなたが愛した人々のことを…」
悔しかった…、悲しかった…。
その感情を全て受け止める。
私は能力時の目を閉まった。
そしてそっと魔犬の両頬を両手の手のひらで包んだ。
すると魔犬の足元にも大きな桜花陣が出てきて妖力の欠片が宙に舞った。
私の妖力は桜色だから桜が舞っているように見えた。
この欠片は私の妖力が魔犬の汚された暗い妖力を浄化している証拠。
でも、私の血が邪魔をして完璧には浄化できないかもしれない。
「…雪莉」
え…?
黒狐の人が私の手に黒狐の人の手を重ねていた。
「…救いたいと思うのならば、
最後まで諦めるようなことは思うな…」
っ!
そう…だよね…。
ここで私が諦めたら…助けられるものも助けられなくなる。
そんなのはいや…!
「…無理をするとまた倒れる」
「え?
あ…っ…?!」
黒狐の人は重ねた手から自分の妖力を魔犬に送っていた。
…あれ?
さっきは気づかなかったけど……。
この光景…前にも……。
