桜ノ雫 ~記憶編~




雪莉(side)



『俺が見つけ出してみせる…』




っ!!



私は目を覚ました。



そして目を疑った。



私を庇ってくれたんだと思う。



黒狐の人が血だらけで倒れていた。




「どぅ…して……」




嫌…。





「嫌だよ…。

目を開けて、お願い……!!」




お願い…。



どうして、涙が止まらない。



体を揺すってみたけど、うんともすんとも言わなかった。




「どうして私なんかのために…」




嫌だよ…。





「目を…開けて……!」




〝どうかなさったのか?

桜九尾の姫よ〟




「だれっ?!」




妖達…。




〝左様。

何をそんなに泣いておるのだ?〟




「助けて!!

私に妖力を下さい!!」




〝何故妖力が必要なのじゃ?〟




「助けたい人がいるの!」




〝そこで死にかけているやつか?〟




「うん」




〝…其奴……。

…良かろう。

皆の者いいじゃろ?〟




〝今までずっと助けられてきたんだ!

こんな事で恩返しに少しでもなるなら

喜んで〟




すると妖怪たちは口々に賛成の声を上げてくれた。




「みんな…」