桜ノ雫 ~記憶編~


「どうして?!

僕の氷が割れるなんて…。

っ間に合わない…!!」




「冬紀!!」




何故冬紀の氷がっ?!



やはりこの仮の妖怪返りの姿では限りがあるのか…?!



っ待ち合わないっ!




「桜花陣」




雪莉?!



雪莉がかざした手と声とともに、冬紀の足元に桜花陣が出来た。



桜花陣は冬紀を守るように作られた。



結界は魔犬から冬紀を守ると桜の花弁のように散った。



すると雪莉が腕から滑り落ちた。




っ!!





「雪莉!!」




俺は精一杯手を伸ばした。



雪莉も手を伸ばすが俺は分かっていた。




この手はどこにも届かない。



また繰り返すのか?!



一度雪莉を失った時も、陰狼の急な襲撃を受けて雪莉は妖刀によって深い傷をつけられた。



そして雪莉の力を奪おうとした。



それに反抗した雪莉は足を踏み外して落ちた。




妖刀は妖怪の血を引く雪莉の力をどんどん奪っていた。



そんな足元が定かでない状態で抵抗をしたから落ちた。




「…遥…」




っ!?




『私が何処にいても見つけ出してね…』




「遥!!」




もう、失いたくないんだ!



俺は飛び降りた。



冬紀が叫ぶ…。



俺は雪莉を引き寄せて雪莉を庇うように落ちた。