桜ノ雫 ~記憶編~




「いくら何でも血を飲んだだけで

こんなに凶暴化する?

君何者?」




分かっているだろうに。



冬紀は冬紀なりに気を紛らわそうとしているのが分った。




「…凶暴化もあるだろうがあれは元々

嗅覚が優れているんだ。

それが血を飲み倍になった」




「分析するのがお得意で」




「…褒めてるのか?」




「そう思う?」




「…いいや」




さすがの俺でも嫌味と褒めの違いくらいわかる…。



話すので気が回っていないらしい。




真下で襲ってこようとする魔犬に冬紀は気づいていない。



教えるべきか?




「…」




否、いいだろ。



俺は黙って後ろの木へとを退避した。



その後すぐ魔犬は冬紀めがけて襲ってきた。




「ってこら!

気付いてたなら教えてくれない?!」




「…それぐらい避けれるだろう?」




…バカ。




「当たり前だよ!

と言うより君、調子乗りすぎ!

頭冷やしなよ!

全てを冷たく閉ざしてしまえ。

凍りつけ!絶対零度!」




八つ当たりだな…。



呪文唱えた冬紀は大きな振袖を振った。




「まったく。

これじゃあ標本だね」




まぁ、確かにな…。



冬紀は手をパンパンとはらった。




バリンッ!