迷っている暇はない…!




「っ!!」




俺は刀を抜いて魔犬の肩を斬った。




そしてそっと雪莉を抱き上げた。



「…大丈夫か?」




「君って相変わらず危なっかしいね」




「間に合って本当によかったです…」




本当に…良かった。




「っ!!」




腕に痛みが走ったのだろう。



雪莉は、傷ついた腕を押さえて顔をしかめた。




「さーて♪

チャチャッと片付けちゃおうか♪」




「…そうだな。

ユウはあっちの二匹の手伝い。

冬紀はこっちの三匹のやつ…。

頼めるか?」




俺は魔犬を許さない。




「当たり前♪」




「了解です♪」




やはりこの二人ほど信用できる人はいないな。




「…降ろして。

このまま戦ったら私が邪魔になる…」




俺たちのやりとりに悲しい目をした雪莉が見つめながら俺に言った。



守る方の気にもなってほしい…。




「…無理だ。

あんたは人の事より自分の事を

気にした方がいい」




…まったく。




「泣きそうな顔をするな…。

俺達とてそれほどヤボじゃない…」




「来るよ!」




それから俺たちは戦った。



魔犬が血を飲んでいること雪莉が自分のせいだと思っていること。



雪莉は特別故に背負わないといけなない荷が多い。