「俺も大切な人達に嘘ついてるから。
二人は気づいてないかもしれないけど
ずっと悲しい顔をしてるよ。
本人の前では平然を
装ってるかもしれないけど
辛いんじゃないの?」
「っ…」
「仕方ないよ…。
陰狼はあの日から私たちの
心から感情を消したから。
私たちみんな陰狼が好き。
でも、陰狼はそうじゃなくなった。
だから…」
「僕らは感情を消されたふりを
ずっと続けた。
この世界に来てからもずっと」
「俺もだよ。
この世界に来た時も
来る前もすごくたくさんの嘘を吐いて
本当のことはみんなに
何一つ話していない」
「ねぇ。
二人の願いは何?」
今まで静かに聞いてくれていた輝がいつの間にか雷獣をしまってそう聞いてきた。
「僕らの願い…?」
「…そんなのないよ」
そう言って俯く二人の嘘は見て分かる。
輝はそんな二人を抱き寄せた。
「「 っ?! 」」
「感情はもう殺さなくていいんだよ。
辛かったし寂しかった。
大好きな人が目の前にいるのに
手の届かないそんな距離が
辛くて苦しくて虚しくて…」
「っ…」
その言葉で柊と呼ばれた男の子は泣き出した。
女の子も目に涙をためていた。
