元いた世界…。



俺たちはいずれ戻らなくてはならない。



全てを受け入れて元いた世界へ。



失ったものは多いがその反対に獲たものもある。



やらなければならないこともある。




「雪莉…」




「行こうか」




「ですね♪」




ユウが言い終わるのを合図に俺たちは全員で妖怪返りの姿へと変幻した。



俺は黒孤の妖怪返り、つまり黒い耳と尾が生えている。



服装は簡単に言えば昔の陰陽師の様な格好だ。




冬紀は全身真っ白な袴と衣に身を包んでいる。



衣には大きい振袖が付いている。




ユウは背中から白い翼が生えていて、忍びの様な格好をして六角帽子を頭に乗せている。




三人が変幻し終わると俺と冬紀、ユウの三人の周りで妖気が竜巻のように集まりそして散った。




「行くぞ」




「「 了解 」」




俺達はしばらく走った。



雪莉の気配に敏感なのは変わらないんだな。



俺達は気づくことのできない気配をすぐに見つけ出すことができる。




「遥!!

あの式は…!!」




「…あぁ。

間違いない。

陰狼の式だ」




だが何故こんなところに…。