桜ノ雫 ~記憶編~



雪莉は俺が全て言い終わる前に俺の頬に手を伸ばした。




「私が約束破っちゃうね…。

破られる人の気持ちは

嫌なくらい分かってるのに…。

私本当に無責任だな…。

本当はね約束した時にはもう

私自身があんまり長くないって

わかってた…。

それでも遥にまた会えて嬉しくて…」




雪莉が涙笑顔を浮かべた時、枯れていた桜が花を全て芽吹かせ満開に散っていた。



桜の花びらが舞う中俺は雪莉を引き寄せた。




「雪莉は…そのまま死んでもいいのか?

俺は嫌だ…。

やっと…会えたのに…

やっと俺の事を思い出してくれたのに

雪莉はまた離れていく…。

今度はもう誰の手も届かない所に…」




届かない…。



どんなに望んでも《今》というものは雪莉を失う事で失ってしまう…。




「私は…。

私は…死にたくない…。

本当は死ぬのは凄く怖い…。

でも…私が死なないと輝がまた…

遥や冬紀やユウがまた苦しむ…。

もう嫌だよ…!!

…元の世界みたいにみんなが

私の為なんかに死にかけて

輝が死んじゃうなんて嫌だよ…!」