遥(side)



「躬如大丈夫か?

後どれぐらいで着く?」




「大丈夫だよ。

後見積りでみて二三分で着くよ」




俺は腕の中の雪莉を見た。



血の気がない…。



それにさっきから妙に…。




「見えた!

…でもあれ花咲いてないよ?」




「普通の桜は冬には咲かない。

カレンどうするんだ?」




〝少ないけど桜の木から妖力を貰う。

雪莉ちゃんの妖力はいわゆる桜。

それは形が桜の花だから

だけじゃなくて雪莉ちゃんが

桜九尾だから。

桜九尾は桜を芽吹かせ咲かせる。

詰まり紙一重なの〟





「紙一重…か」




この前どこかでも聞いた言葉。




〝ここからは遥さん。

あなたしかできないこと〟




「俺にしかできないこと?」




〝あなたは雪莉ちゃんの

たった一人の対になる人。

今までは輝さんがやってきたけど

今はあなたはしかいない〟




輝がやっていたこと?



そういえば輝はこの前桜の木に手を当てて雪莉に妖力を継ぎ足していた…。




〝やり方は簡単。

まず桜の木に遥さんの妖力を注ぎ込む。

桜の木に入った遥さんの妖力は

桜の木を廻って

遥さんの元へ帰って来る。

その妖力をそのまま雪莉ちゃんに流す〟