嫌だ…。



人は嫌い、大嫌いだ!



私たちを紛い物扱いし家族を傷つけ私の式に怪我をさせた!



どうしてそんな人を信じないとならないの?!




急に目の前が真っ暗になった。



そこで覚めたから。



あぁ、またこの夢…。



静かに起き上がると頬に何か伝った。




「これ…は」




涙?



また…ですか。




何度もなんどもあの日の事を鮮明に夢で見せてくる。




「陰狼。

山神帰ってきた」




「でも、犬神帰ってこない」




「犬神はいい」




二人の額の水晶が光った。



はぁ。




『陰狼遊ぼ〜♪』




『今日は誰にイタズラする?』




ふと頭の中に昔の二人の声が聞こえた。




『僕たちは陰狼の事好き』




『カイコ狐に好かれるのは

凄い事、なんだよ♪』




私は頭を強く振った。




「っ…。

ここまでやるなんて…」




痛む頭を抑えながら苦々しく呟いた。



本当に《あの二人》は厄介だ…。



早くなんとかしないと私まで帰れなくなってしまう。



窓辺に移る月を見ながら思った。