「雪莉…!」




え…?



どうして名前を…。



輝はこの三人の前では私の名前は読んでないのに…。




手を伸ばす黒い狐の人に私も手を伸ばした。



あと少しで届く。



そう思った時、頭にある一つの映像が流れていた。



見たこともない場所で全く同じ状態で、黒い狐の人と私の伸ばす手は互いに届かず私は暗い闇の中に落ちる。



黒い狐の人が泣きながら私を抱きしめている。



私はその人の頬を撫でて…死んだ。




『私がどこの世界に転生されても、

絶対見つけ出してね…。

私とあなた、ユウに冬紀…。

それぞれ心に抱いているものは違う

けど、誰かが強く願う限り私達は

またどこかできっと巡り会える…』




私の…記憶の一部?



でも、この記憶が本当に私のかどうかもわからない…。



私が写っているっていうことは私の記憶なんだと思うけど…。




心当たりがない…。




でも、どうしてこんなに悲しいの…?




私からたくさんの涙が溢れて宙に舞った




私の頭の中に一つの名前が浮かんだ…。




「…遥…」




私の意識はそこで途切れた…。