桜ノ雫 ~記憶編~

ただただ憎かった…。



本当にそれだけなのだろうか?




「ただカイコ狐だけは

呪縛縛りの式札で出来た

式神じゃないんだ」




カイコ狐だけ?




「さっきも言ったように

カイコ狐の二人は元々の陰狼の式神。

だから呪縛縛りじゃないんだ」




「呪縛縛りの式に変える事もできた。

でも、それをしなかったのは

陰狼の心にまだ二人がいるからです。

陰狼は心に大きな影を持っています。

その影を取り除くのは不可能に近い。

それでもいい?」




「うん」




雪莉は安心したように静かに息をつくと俺の方に向き直った。



前々から思っていたんだがやはり雪莉じゃない…。



雪莉よりさらに落ち着きがあり切り替えが上手い。



雪莉とすり替わる《桜九尾》の正体はもしかすると…。




「ごめんね、

もう少しだけこの子の事をお願い…」




っ?!



桜九尾は俺の側によると俺にだけ聞こえるように




「この世界の悪夢を

終わらせる鍵は《カイコ狐》。

そして《烏天狗》」




と耳打ちをした。