「そのカイコ狐が二匹も
陰狼に?」
「そう!
すごいでしょ?!」
すごく嬉しそう…♪
人の事を自分の事の様に喜べるのはだれにでもできる事じゃないから。
「カイコ狐の二人とは
とても仲がよくてどこ行くにも
何をするにも三人で一緒でした。
その三人を優しく叱ったり
お世話をしたりするのが
烏天狗でした。
烏天狗とは兄弟の様にいつも
甘えに行ってたなぁ。
なんだかんだ一番好きだったのは
烏天狗なんだよ…。
あの頃は本当に仲が良かったな…」
そんなに仲が良くて大好きなはずの妖をどうしてあんなに憎んでいるんだろう。
『妖怪は嘘つきで外道で
誰それ構わず手にかける』
『妖怪と人は決して心を
交わし合えてはならないんですよ』
っ!!
陰狼のあの時の目は…。
怒りだけじゃなかった。
深い悲しみがあった。
「…そんなある日事件は起きた」
事件…。
私の頭の仲にはさっきの映像が流れた。
火の海で一人うずくまる陰狼の姿。
「…神矢家を烏天狗の集団が襲った。
主将は陰狼に仕えていた烏天狗」
