〝陰狼はどうして私たち妖怪を…

妖を嫌うの?〟




カレンは私と同じ疑問を持ってる。



それは恐らく遥も持っている。




「犬神の心が分かれば

陰狼の事もわかるかもしれない」




「…それは」




遥は私をじっと見つめた。



遥はいつもこの力を使う時は強制しない。



今回それをするって事は今必要だから。




「…遥がそれを望むなら」




「頼む…」




私は遥の言葉を聞いた後犬神の側に膝をついた。



まだ眠ってる。




「…ごめん」




勝手に心を覗いて。



犬神の額にそっと手を当てた。



静かに私は目を閉じた。



そして少しの妖力を犬神に流し込んだ。



その時妖力の風が吹き上がり着物の袖が翻った。



翻るのと同時に私の桜の花びらの妖力と犬神の水色の妖力が混じった。



そしてそれは空中で丸い鏡のようになった。



これが私の心を映す力の正体。



普段は自分だけが見えるように外に映像は出さないけどね。



つまり脳内映像。



…覗きたい相手の額に触れる事で成立する私の大嫌いな力。