「…汝あるべき自由へ。

我呪縛の縁を此処で断ち切らん」




私は犬神の手の甲に手を重ねた。



後少しで紋様が消えるというところに差し掛かった時だった。



っ?!



手のひらに痛みが走った。



紋様を消し終わった時に私は手のひらを見た。



何かチクってした気がしたけど…。



気のせい…だよね?



私は犬神のリングを解いた。




〝雪莉ちゃんいいの?!

目を覚ましたらまた

襲ってくるかもしれないよ?!〟




「それでもいい…」




それでも犬神は自由に生きていたいと思う。



突然、陰狼に呪縛をかけられて自由を奪われて…。



自分が何のためにいる中も分からなくなってしまう。



…私がそうだったから。




「カレン大丈夫だ。

雪莉ならきっと…」




〝人の心を開く事が出来るから?〟




「あぁ。

カレンだってそうだろ?」




〝…うん〟




「ありがとう…遥」




「??

何がだ?」




「信じてくれて…」




遥は優しく笑うと犬神に向き直った。




「犬神は陰狼はどう見えたのかな?

逆に陰狼には

犬神はどう映ったのかな?」




〝雪莉ちゃん…〟




「犬神には家族や友人がいただろう」