水晶の様な物が紐で繋がれてる。




「呪文付きみたいだね…」




私はその水晶に人差し指を当てた。



案の定あまり強くない呪詛で私が触れるだけで紐はすぐに切れて水晶は取れた。




「…詰まり陰狼は

犬神を式としてはなくただの

使い捨て道具として使ったって事?」




陰陽師の時代からある使い魔には二種類の種類がある。



一つは式。



式は主と何度でも主を守るという契約を交わした使いのこと。



もう一つは使い捨て式。



無理やりな契約または洗脳をして操る式の事。



本来の式なら主が捨てる事がない限り普通の妖より治癒能力が強く滅多に死ぬ事はない。



でも使い捨ての式は普通の妖と同じ治癒能力しか持ってないから身体に負荷のある大きな傷を受けると死んでしまう。



陰狼は恐らく自分の本当の式を持っていない。



本当に道具としか見てないんだ。



陰狼…。



あなたには何があったの?



妖に何をされたの?




「雪莉!」




「…っ?

遥…」




よかった無事だったんだ…。



…あれ?




「山神様は?」




「…急に消えたんだ。

恐らく陰狼が呼んだんだと思う」




私が犬神を捕まえたから?



やっぱりこの犬神はどうでもいいって事?




〝雪莉ちゃんすごい…。

犬神を捕まえるなんて…〟




「成る程。

山神を操っていた犬神が

捕まってしまったから山神を

回収したのか…」




私は犬神の袖をまくった。



あの時と同じ…。



もしかしたら陰狼の式はすべてこの術なのかもしれない。