なら私もどこかで見たはず…。
どこで…?
この世界ではない…。
じゃあ前の世界で?
前の世界で最後に陰狼と接触があったのは私が死んだ時。
その時に見た?
…違う。
もっと前…。
陰狼と接触したもっと前って言えば…。
っ!
「…輝が死んだ時」
〝えっ?!〟
なんだろう…。
フラッシュバックの様に全て思い出せる。
輝は死ぬ前陰狼に操られていた。
その時に手の甲にあった紋様って…。
私はもう一度犬神の手の甲を見た。
でも長い服の袖で手の甲は隠れて見えなかった。
「カレン。
私が今から言うことをよく聞いてね」
〝…うん〟
「今から私が彼に近ずいて
リングを作る。
リングはカレンを捕まえる時に
使った技の事。
その間カレンには遥を連れて来て」
〝それじゃあ、
誰が雪莉ちゃんを守るの?〟
「私なら大丈夫。
遥と冬紀と約束したもん♪」
私は小指を出してカレンを安心させるために優しく笑った。