雪莉(side)
ドンッ!!!
その大きな音に私は耳を塞いだ。
「来ないで!!」
そして少しずつ近く陰狼の式神に声を荒立てた。
式神の姿は半妖の姿をした本当の妖。
多分犬神だと思う。
さっきの大きな音は犬神が攻撃をした音。
私は私の影から出てきたカレンのおかげで助かった。
これ以上遥への負担はダメだ。
「狙いはなに?
私を消すこと?」
「……」
この人さっきから全然喋らない。
長い布を首に巻いて口元を隠しているから感情を読み取れないし…。
かといってこの人に能力を使っても相手に触れられないと能力は使えない。
私は人の姿のまま犬神の攻撃を避け続けた。
避けきれない攻撃をカレンが守ってくれてギリギリ今は無傷。
…まただ。
さっきから少し気になることがある。
犬神が攻撃を仕掛ける時長い袖から見える手の甲に何か紋様がある…。
「カレン…あの手の甲にある紋様
どこかで見たことない?」
〝え…?
手の甲の紋様…?〟
カレンは暫く唸った。
〝見たことある…。
雪莉ちゃんの記憶の中で。
でもなんの紋様が思い出せない〟
「待って、
私の記憶の中で見たの?」